【義父の話⑪】2024/01/26

 今日は、告別式。
 それに先立って、家ではお棺の中に入れるものを皆で検討していた。
 娘がプレゼントした帽子。これは義父がたいそう気に入っていた。
 ナンプレのパズル(まだやりかけの奴)。家族で米寿のお祝いにプレゼントした「88」と描いてあるTシャツ。アタシが拵えた瓢箪に絵を描いたヤツ。けん玉、甘いものが好きだった父にどら焼き。
「それは?」
「お箸」
「あー、そうだね」
 父の引き出しを探しているといると色々出てくる。
「習字の筆だね、どうする?」
「お棺に入れちゃうか?」
「いや、そういうことじゃないでしょ」
「このシャツ、着る?」
「いや、オレは着ないなぁ」
「お父さん好きだったよね、お棺に入れちゃうか?」
「ちょっと待って・・・それは?」
「庭仕事する時に使ってた手袋」
「いや、どうかなぁ?」
「でも、燃えるよ!」
「処分に困った燃えるものを入れるところじゃないから」